社長に忖度なんてあって当然だ。
社長の考えにNOと言って無傷で帰れるのか。
いや、無傷どころか職を失うことになるかもしれない。
気付けば、周りの人から距離を置かれたり、昇進が遠のいてしまったりすることもあるだろう。
周りの同僚から「NOなんて言わないのが常識だぜ」ってな目で見られたりして。
誰だって社長のご機嫌は取っておいて損はないし、評価も上げたい。
しかし、それは企業や社長のことを思っての行動ではない。
それは自分たちを守るための行動である。
自分たちが、昇進し、昇給し、いい給料を得て、いい生活をして、ちょっとした贅沢を味わうために「ただ社長に賛同する」という行動を取っているだけなのだ。
本心ではない。
むしろ本心はうまく隠されている。
同調圧力から意見を言う人は、どんどんいなくなるだろう。
そうやって社長は全てを受け入れられ、崇められて、周りの部下たちに裸の王様にされてしまうのだ。
「裸の王様でいい、社長である私の考えることをこなしてくれる部下がいればいい」
と言う社長もいるだろう。
それはそれでいいと思う。
ワンマン社長も全然否定しないし、それはそれで有りだろう。
ただ、「みんなが意見を言いやすい会議にしよう」「若手もどんどん意見を言ってほしい」「自分で考えて行動するべきだ」と言ってる社長が、気付かぬうちに社員に圧力をかけてしまっていることがある。
圧力とは何か?
社員が意見を言ってる時の社長の感情的・威圧的な態度
これに尽きる。
「みんなどんどん意見を言い合おう」と言う割に、自分の考えと違うと
・意見を聞き終わる前に被さるように反対意見を言いだす
・不機嫌になる
・表情が曇る
・言葉がキツくなる
など、意見を受け入れる体制が全くない社長は、こういった態度に出る。
しかもその態度誰がどう見ても分かるほど丸出しなのだ。
それが社員たちにとっては圧力になる。
いずれ社員たちの間に
「社長は意見を言えと言うけれど、自分の考えと違うと不機嫌になるから言うのはやめろよ」
と言う暗黙のルールが出来上がり、
誰も反対意見を言わなくなるが社長は気付いておらず、
『うちはみんなが同じ志を持った風通しの良い会社だ』
と鼻高々に勘違いしてしまう裸の王様が出来上がるのだ。
うーん、罪深い。
社員が?いや社長が?
そしてたまにいる「社員たちとは本音でぶつかりたい!」と言う社長。
はっきりお伝えしよう。
社員は社長なんかとぶつかりたくない。
本音を言えないのは辛いが、社長とぶつかることはもっと辛い。
何度も言うが、ぶつかるとキャリア・昇給など自身の将来に影を落とすことになるかもしれないからだ。
社長とぶつかることができるのは、社長が意見を聞き入れる器のある会社の社員だけである。
「どんどん意見を言ってくれ」と言う社長=意見を聞き入れる器のある社長ではない。
では、それはどんな社長なのか・・・
「本当に社員の声を聞きたいと思っているのか」
「自分の考えだけが正解と思っていないか」
「あなたは社員の声を聞く準備はできているか」
「反対意見に興味を持てるか。受け入れられるか」
「意見を言いやすい雰囲気作りができているか」
「自分の表情、感情をコントロールできる自信はあるか」
「話を途中で遮らず、最後まで話を聞くことはできるか」
以上を全てYESと言える人がまさに、意見を聞き入れる器のある社長となる。
「不機嫌にはなるが、意見は言って欲しい」なんて図々しいお願いはしないで欲しい。
一か八かのギャンブルには誰も乗らない。
あなたが裸の王様になるかならないかは、あなた次第であることは間違いないとお伝えしたい。